- これから村上春樹の小説を読みたい!
- 何から読めばいいかわからない
そんな方に向けて、今回の記事では村上春樹を語る上で最低でもこの小説は抑えておいて!そんな小説を紹介していきます。
村上春樹さんの作品といえば、風景描写、人間の感情の描写が鮮明に描かれているのが特徴的です。特に、思春期の頃の主人公の性への苦悩や、死生観に悶える人などを美しく描かれていることから芸術的な作品として愛され続けている作品が多いです。
そのため、
美的センスの高い作品だからこそ、どこから読めば正解かがわからない。
学生の頃に一度読んでみたけど、あまり良さが分からなかった。
表現が難しすぎてわからない・・・
こんな声もよく聞きます。
村上春樹さんの作品は、大人になって何気なくもう一度読んだら全く違う価値観に出会えた。そんな人も多くいます。
実は、私もその中のひとりです。学生時代に読んだ『ノルウェイの森』の良さが理解できずにいましたが、30代になって再び読んだ時に全く違う価値観に感動しました。
また、最近になってもう一度読んだ時はさらに進化していました。
これは、読み手の心の成長とともに、「刺さる言葉」が変わるからです。
もし高校生の頃に読んでみた「村上春樹作品」に感動を覚えずに本を閉じてしまった。そんな人がいれば、ぜひ今回の記事で紹介する作品だけは手にとってみてください。
きっとその時は理解できなかった「言葉」が今は「刺さる言葉」になっているかもしれません。
どれもあなたの心の成長とともに読んで欲しい作品です。
この記事でわかること
- 今から読むならこの作品
- 読みやすい作品はどれ
- 村上春樹作品を無料で読む方法
目次
長編小説ならこの8作品
まずは長編小説で読むならこの作品というものを紹介します。
こちらで紹介するのは読みやすさも紹介します。
風の歌を聴け
難しさレベル 読みやすい
長編小説の中でも特に読みやすい小説です。
1979年に作られている作品ですが、古臭さを感じさせず初心者にも読みやすい構成になっています。
こちらも『ノルウェイの森』と同じく大学生の主人公〝僕〟の視点で、親友の〝鼠〟やレコード店で働く女性との青春のシーンが描かれています。
なお、村上春樹はこの作品で講談社の群像新人文学賞を受賞。
村上春樹の原点とも言われるような独特の軽いタッチで描かれる小説には、賛否両論があったようです。それでもコアなファンから指示されているこの物語は読みやすく、村上小説を楽しむために外せません。
スプートニクの恋人
難しさレベル 読みやすい
この世の物とは思えない奇妙な恋の物語
22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。――そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー!!
引用 Amazon
スプートニクの恋人から刺さる言葉
長いあいだ一人でものを考えていると、結局のところ一人ぶんの考え方しかできなくなるんだということが、ぼくにもわかってきた。ひとりぼっちであるというのは、ときとして、ものすごくさびしいことなんだって思うようになった。
スプートニクの恋人 P296より
「スプートニク」とは「旅の道連れ」や「同伴者」という意味があります。
ひとりでいることを物の考えかたという観点から、表現されたこの言葉は刺さりました。
海辺のカフカ
難しさレベル 少し難しい
読書感想文の課題図書にもなるほど有名の作品です。一度は読んでおきたい村上作品の代表作です。
主人公となるのは、15歳の少年です。
物語は、昔、母親に捨てられた暗い過去がトラウマとなったのと、父親から呪いをかけられたことが原因で家出をすることから始まります。
四国に住んでいるカフカは、家を飛び出した後、香川に向かうのです。
また、別のところでは、猫と会話ができる「ナカタさん」という人物がいました。
彼は、いつも猫探しを周囲の人から頼まれて活躍していました。
しかし、「猫殺し」に出会い、猫好きのナカタさんは我慢できずに、その猫殺しを殺してしまいます。
そんな、カフカとナカタには不思議な繋がりが・・・
海辺のカフカから刺さる言葉
「目を閉じちゃいけない」
「それも決まりなんだ。目を閉じちゃいけない。目を閉じても、ものごとはちっとも良くならない。目を閉じて何かが消えるわけじゃないんだ。それどころか、次に目を開けたときにはものごとはもっと悪くなっている。私たちはそういう世界に住んでいるんだよ、ナカタさん。しっかりと目を開けるんだ。目を閉じるのは弱虫のやることだ。現実から目をそらすのは卑怯もののやることだ。君が目を閉じ、耳をふさいでいるあいだにも時は刻まれているんだ。コツコツと」
ノルウェーの森
難しさレベル 比較的読みやすい
高校生の頃に読んで、独特の性描写に驚かされた記憶があります。
登場人物を通して、恋愛関係や人間関係の微妙なすれ違い、近しい人の死について考えさせられる物語です。
ノルウェーの森から刺さる言葉
たぶん我々はあのとき会うべくして会ったのだし、もしあのとき会っていなかったとしても、我々はべつのどこかで会っていただろう。とくに根拠があるわけではないのだが、僕はそんな気がした。
ノルウェイの森 P124
ノルウェイの森には、感動を与える言葉や思わず笑ってしまうような言葉がたくさんあります。読めば読むほどこの物語の違った一面が見えます。
私も、10代、20代、30代、40代の時に読みましたが、それぞれの年代で物語の捉え方が変わりました。物語の見え方も変わりました。
もし読んでいても、久しぶりに再読してみたくなる物語です。
街と、その不確かな壁
難しさレベル 難しい
十七歳と十六歳の夏の夕暮れ……川面を風が静かに吹き抜けていく。彼女の細い指は、私の指に何かをこっそり語りかける。何か大事な、言葉にはできないことを――高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう。村上春樹が長く封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。
Amazon 引用
当て所もない街歩きの後に消えてしまう女の子(ノルウェイの森)
ロウソクのある秘密の部屋(羊をめぐる冒険)
雪かき(ダンス・ダンス・ダンス)
図書館(海辺のカフカ)
死者との会話(羊をめぐる冒険)
耳(羊をめぐる冒険)
井戸(ノルウェイの森、ねじまき鳥クロニクル)
ザ・ビートルズ、ウィスキー、クラシックやジャズなど音楽
この作品は6年ぶりの作品、今までの作品で描写されてきたモノすべてが入っている正に・・・「全部入り」の作品。
1Q84
難しさレベル 少し難しい
1Q84は、現実世界と非現実の世界で揺れ動く二人の恋物語です。
このストーリーは、主人公の青豆と天吾が偶然にも「1Q84年」に迷い込み、いくつもの試練を乗り越えていきます。
二人の出会いと別れ、そして再び出会うまでの物語が幻想的に描かれています。
1Q84から刺さる言葉
1Q84 Book2引用
「人間にとって死に際というのは大事なんだよ。生まれ方は選べないが、死に方は選べる」
自分の最後のセリフでこんな言葉が言えたら・・・
覚えておこう!
ねじまき島クロニクル
難しさレベル 難しい
平穏な生活を暮らしていたところにふと猫が消えた。そして何の前触れもなく突然、失踪し行方不明になってしまった妻のクミコ。
主人公である夫の僕(岡田亨)が探し続け様々な人々と出会い、そこに隠された謎を解き明かしながら、悪の根源の綿谷ノボルと闘う物語。
ねじまき島クロニクルから刺さる言葉
明日になって何が起こるかは、誰にもわからないのだ。明後日のことなんて、もっとわからない。いや、そんなことを言いだせば今日の午後に何が起こるかだって見当もつかないのだ。
ねじまき島クロニクル 2部
一度目読んだ時は高校生の時、物語が頭に入ってこなくて途中挫折してしまいました。
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
難しさレベル 難しい
村上作品では、現実の日常を生きる主人公視点のストーリーが多いのですが、こちらは、ストーリー自体にSF要素や幻想がはじめから組み込まれています。
架空の街で暮らす〝僕〟の物語「世界の終わり」と、暗号解読者の〝私〟の物語「ハードボイルド・ワンダーランド」の2つが並行して進んでいく構成で、不思議な読書体験をすることができます。
この作品で、村上春樹は谷崎潤一郎賞を受賞しています。
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドから刺さる言葉
「疲れを心の中に入れちゃだめよ」
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
「いつもお母さんが言っていたわ。疲れは体を支配するかもしれないけれど、心は自分のものにしておきなさいってね」
SF要素が含まれていることから、少し理解に時間がかかりました。読み進めていくうちに楽しむことができる作品です。
短編小説ならこの2作品
次に短編小説で読むならこの作品というものを紹介します。
初心者ならこちらから読むのが入りやすいです。
パン屋再襲撃
難しさレベル すごく読みやすい
「2週間ほど前に結婚したばかりの20代の夫婦が、猛烈な空腹感を解消するために、夜中にパン屋を襲撃してパンを奪う」という物語。
しかも再襲撃という、結婚前にも一度男はパン屋を襲撃しているというから驚き。
この作品は全部で、6つの短編小説が書かれています。
どれもクスッと笑ってしまうような、可愛げのある作品に仕上がっています。
女のいない男たち
難しさレベル 読みやすい
この短編小説の中には、映画化されてアカデミー賞を受賞している「ドライブマイカー」が収録されています。
ちなみにこの村上春樹の短編「ドライブ・マイ・カー」は、ビートルズの「ラバー・ソウル」(1965年12月英米でリリース)というアルバムの冒頭を飾る曲「ドライヴ・マイ・カー」に、タイトルをインスパイアされているのではないかとも言われています。
女のいない男たちから刺さる言葉
「紳士とは、払った税金と、寝た女性について多くを語らない人のことです」
女のいない男たち
どの話もゆっくりと味わうように読める物語です。
無料で読むならAudibleがオススメ
無料で読むならAudibleの体験期間をオススメします。村上春樹作品は、Audibleで聴ける本が12作品あります。
- 海辺のカフカ
- ノルウェーの森
- 1Q84
- 騎士団長殺し
- 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
- パン屋再襲撃
- ねじまき島クロニクル
- 色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年
- 神の子どもたちはみな踊る
- 猫を棄てる 父親について語るとき
- 東京奇譚集
- 辺境・近境
ちなみに、村上作品の多くはAudibleの朗読で芸能人が朗読しています。
- 海辺のカフカ・・・木村佳乃
- ノルウェーの森・・妻夫木聡
- 1Q84・・・杏・柄本時生
- 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年・・向井理
- 猫を棄てる・・中井貴一
- 騎士団長殺し・・高橋一生
- 神の子どもたちはみな踊る・・仲野太賀
- 辺境・近境・・・永山瑛太
- 東京奇譚集・・・イッセー尾形
- 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド・・大森南朋
- ねじまき島クロニクル・・・藤井直人
- パン屋再襲撃・・・柳楽優弥
どの作品も豪華な顔ぶれが朗読をしているので、物語に入り込みやすいのが特徴です。私のオススメは柳楽優弥さんの「パン屋再襲撃」です。
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